上澄と深みのはざまに寝転ぶ

ゆくゆく一人で生きていくためにしておくことは。

【読書】『世界でいちばん透きとおった物語』は、あなたを透過してくれる。

最近自分が本当に本を読めているのかが

怪しく思えて仕方ない。

私の部屋にはたくさんの本があるけれど、

積読のまま新しい本をまた家に持ち帰っては肥やしにしている。

その中でも特に文芸書や小説は読み終えることなく、次に手を出している気がする。

そこでせっかくだから、

読める文庫本を新しく手にする。

そういう経験が欲しくなった。

小学生のとき、青い鳥文庫やフォア文庫の小説を読み終えて次の巻にいけたように、今の自分でそれを体験したい。

そこで、手に取ったのがこの一冊。

杉井光さんの『世界でいちばん透きとおった物語』

巷で話題の一冊。

ページ数もさして多くなく、

お話自体が「父の謎の遺稿を探す」というハッキリとしたテーマなので、さくさく読めます。

推理小説な部分もあるんですけれども、

そこに重きあるわけではなく、シンプルに父の遺稿がどこにあるのか、何なのかを主人公と探す。

しかも、登場人物もさして多くなく、

読者も追随できる範囲で事が進んでいくため、

大きな負荷がない。

その分、しっかり主人公と物語が体験できる。

そして、読み終えた後も

小説を体感できるこの一冊。

推理小説を読んで

迷子にならないライトな謎解きをお考えの方、

「ガッツリな小説はまだまだ合わないかも」という読書量の方にも、

おすすめをします。

私にとっては、

「これでちょっとレベルアップしたで!」という気持ちよさを与えてくれる小説で良かったです。

何より物語を体感させてくれる小説でした。

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リミテッドカバーの【summer】もすてきです。