光が膨張している。
明るいグリーンのカーテンから、はみ出さんばかりに夏の日差しが、光が膨張している。
こんな日に、外に出たくなるのは誰だろう。
午後12時すぎに、
近所のスーパーに出かける支度をする。
牛乳もない、食パンもない、私の実家の食卓。
買い足さないことには、はじまらないから、
外に出る。
外に出て早々、だれもいない。
家を出て、数十歩。
あるのは、一本に続く道と、その道の両側にすっと並び立つ家々。
でも、だれもいない。
そうか、みんな暑いんだな。わざわざ、出たくないんだな。
そうして、駅に近づけば、人が見える。
人がいる。
でも、数える程度にしか人がいない。
私の視界で捉えた数は、50もいかないのでは。
夏の光が遮断する、街に繰り出す人の数。
そういえば、蝉の鳴き声も省エネモードに入ったのか、騒がしさがない。アスファルトの道道に仰向けで寝転ぶ蝉のひとつふたつみっつや、やっつ。
やはり、みっつか。
蝉の選手交代かと思えど、
まだ一盛り眩しい夏が続くは続く。
だって、まだ8月11日だもんな。
この暑さに、へとへと。