春暮康一さんの『法治の獣』を読み終えた。
「“獣”なのに、“法治”?」という、
この言葉の真逆さに惹かれて、つい手に取ってしまった。中編の3作品が収められている今作。
非常に読み応えがあった。
お話としては、
人類が太陽系を抜け出して、他の惑星へ探索、なんなら、住むのも当たり前の世界でのお話。そして、そこに存在する地球外生命とのファーストコンタクトやどう対処していくか。
そもそも、宇宙人がいるのであれば、
宇宙に生命体、つまり生き物がいても、
おかしくはないんだよな。
ただ、そこにいる生き物については、どういったものかが定かでない以上は、不用意に関わってはならない。なぜなら、その生物を破滅しかねないから。
なのに、どうして、大丈夫だと思えるのか?
どうして加減ができていると考えるのか?
人間が相手でさえも分からないことがあるのに、その相手が人間ではない以上、より不明瞭な領域に踏み込んでいるのは当然で。
だけど、私たちは今作でも何回か出てきている
“好奇心”を胸に、不用意になにかを信じ、
手を伸ばし過ぎているのかも。
そんなことを考えさせられるのと同時に、物語の背景を支えているSFの設定が一つ一つ魅力的で、
その世界にのめり込んでしまう。